価値の変動を観てみよう:マンションPER
2018年05月21日
不動産物件って高いですよね。
不動産会社で業務を行っていると、賃料であったり価格であったりの相場観を感じる事があります。
極めて個人的な感覚ですが、統計や調査結果が報道されると改めて納得することが多いのです。
東京の不動産物件は近年高騰傾向でしたが、今後はどのようになるのでしょうか?
将来の傾向を考える指標の一つ、マンションPERについてお話ししたいと思います。
マンションPERとは?
証券用語で【PER:Price Earnings Ratio:株価収益率】というのがあります。
この株価収益率の考え方をベースに、
マンションの価格が
その周辺で賃貸されているマンションの賃料の何年分に相当するか
を示す指標として、
マンション市場調査会社の株式会社東京カンテイが考案・発表している数値になります。
計算式は、「物件価格÷物件の年間賃料」になり、
【新築マンションPER:20】ですと、
新築分譲マンションの購入価格と同様の新築賃貸マンションの20年分の賃料合計とが、
同等になるという事になります。
という事で、
マンションPER数値が低いと、分譲購入をする方がお得。
マンションPER数値が高いと、賃貸をしていた方がお得。
という状態になります。
一般的に購入される時に、20年ローンを組むことが多いと思いますが、
PERが20を超える場合は、賃貸の方がお得と考えた方が良いと思います。
この数値は、売買相場・賃貸相場により変動するので、年ごとの推移を観ることが出来ます。
また、地域毎に分けて地域差の傾向を観ることも出来る指標になります。
バブル崩壊後の下落傾向を受け、首都圏平均値の数値は…。
2000~2005年は【マンションPER:17~18】の間で安定していました。
2006年頃からアメリカの好景気・海外の市況に引っ張られ上昇傾向になり、
2007年には【マンションPER:22.10】になりリーマンショック前の最高値に。
2008年のリーマンショック以降下落して、
2013年まで【マンションPER:19~20】の間で安定していました。
2014年から上昇傾向が始まりました。(前年9月に東京オリンピックの開催が決定)
2015年には【マンションPER:23.45】リーマンショック前の最高値を超え、
2016年以降も上昇を続けている状況でした。
株式会社東京カンテイ
2018年5月7日発表 新築マンションPERの推移(首都圏):PDF
https://www.kantei.ne.jp/report/95PER-trend_shuto.pdf
マンションPERの記事がありました。
《マンションPER,価格高騰の影響で上昇》re-port.net ㈱不動産流通研究所
https://www.re-port.net/article/news/0000055530/
《新築マンションの収益力が最低水準》nikkei.com 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3015864007052018QM8000/
記事の詳細は、各リンクからご確認下さい。
どちらも売買価格の高騰で、マンションPERの数値が【首都圏平均24.49】と、
高い数値をだしている事を記事にしています。
居住用として購入を検討されている方にとっても、
賃料収入を見込んだ不動産投資として購入を検討されている方にとっても、
マンションPERの数値が高いのは、好材料ではありません。
今後の売買価格の高騰を見込んだ不動産投機として購入を検討されている方には、
収益率はあまり気にしない方もいるかもしれませんが、
不動産物件の価値変動の材料として注目するべき指標です。
2008年のリーマンショックを境に最高値をつけたマンションPERも、
以後下降を続けて、近年また上昇傾向にあり、
リーマンショック時につけた最高値を超えていました。
そして、昨年2017年のマンションPERの数値が【首都圏平均24.49】と、
高い数値をだしているのですが、
2016年のPER数値も【首都圏平均24.49】だったので、
上昇傾向にあった市況が高値安定傾向に変わったとの結果が出ています。
個人的には、上昇傾向がやはり止まっていた。
という調査結果が指標として出た事で納得できました。
2018年の現在の状況として、上昇気配は弱く、
やはり高値安定しているように感じています。
(下落の兆候も見え始めているように感じることもあります。)
東京オリンピックが終わった以降は、下落傾向になると想定されていますが、
その前から下落は始まるように私は感じています。
投機目的で新規に不動産購入を考えている方は、
購入対象を慎重に見極めた方が良いでしょう。
投資目的で新規に不動産購入を考えている方は、
時期の見送りを含め、検討した方が良いと思います。
新規着工戸数の増加傾向も収まり、減少傾向に移っています。
需要の減少に伴い、供給も少なくなることで、高値安定が続くかもしれません。
しかし海外からの投資を受けて価格上昇をしている側面もあるので、
中国・韓国を含め海外の国内情勢・世界全体の情勢により、
海外投資の減少、投資資金の回収、利益確定売りが出てくることも想定されます。
逆に諸外国に比べて、安心安定の日本への投資が増えるかもしれません。
国内需要を観ると、全体的には好調ですが、
建物・エリアなどの、人気・不人気の二極化をしています。
現在購入をするのであれば、今まで上昇し過ぎているエリアは割高感があるので、
高すぎないエリアで、建物の資質がしっかりした物件で要検討だと思います。
このまま高値安定が続くのか、更なる高騰になるか、はたまたバブルが弾けるように下落が始まるのか、
国内・世界情勢を踏まえて要注目ですね!